閑居ノ箴
あら物ぐさの翁や。日比は人のとひ来るもうるさく、人にもまみえじ、人をもまねかじと、あまたたび心にちかふなれど、月の夜、雪のあしたのみ、友のしたはるるもわりなしや。物をもいはず、ひとり酒のみて、心にとひ心にかたる。庵の戸をおしあけて、雪をながめ、又は盃をとりて、筆をそめ筆をすつ。あら物ぐるほしの翁や。
酒のめばいとゞ寝られね夜の雪 芭蕉
雪も降らず、月も見えぬ冬の夜。気分もはてしなく鬱。
翁の俳文を読み、いささか気を取り直す。「心にとひ心にかたる」この句の響きは深い。
そういう境地を渇望しているのだ。俗塵にまみれつつ。
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