吉田秀和の「音楽展望」を読む幸せ。今日の展望では、中原中也が取り上げられていた。実際に中也に会った人で、しかもその思い出を語ることのできる人は、今の日本では吉田秀和一人である。
今日の文章で描かれた中原中也はすばらしい。そのように彼のことを思い出す吉田秀和もすばらしい。読んでいて、涕が出そうになった。
月の光りのそのことを、
盲目少女に教へたは、
ベートーヴェンか、シューバート?
俺の記憶の錯覚が、
今夜とちれてゐるけれど、
ベトちゃんだとは思ふけど、
シュバちゃんではなかったろうか?
(『在りし日の歌』より)
中也が若き秀和に、機嫌のいいときに歌ってくれた、ざれ歌だという。
もう一つ、今日の新聞から。
来日予定だったアントニオ・ネグリにビザが発給されないということで、来日が延期になったということ。
「7月の洞爺湖サミットを控えて入国管理が厳しくなっており」、その余波らしい。笑わせるなといいたい。彼がそのむかし「赤い旅団」と関係があったということで発給を見合わせているとしたら、おかしなことだ。自国のなかの政治は最低のテイタラクだが、いつでも入管関係になると、偉そうになるのはやめてほしい。
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