新藁の出初めて早き時雨哉
芭蕉の最晩年(元禄7年)の句。『蕉翁全伝』に、「此の句は秋の内、猿雖に遊びし夜、山家のけしき云ひ出し次手、ふと言ひてをかしがられし句なり」とある。故郷、伊賀上野の猿雖亭にての作とされる。「しんわらのでそめてはやきしぐれかな」。
「稲刈りが済み、稲こきが始まって新藁が出始めたばかりなのに、早くも時雨が回って来たことよ」(新潮古典集成『芭蕉句集』今 栄蔵 校注より)
湯殿川ぞいの稲田の稲もいつの間にか刈り入れが済み、稲架(はさ・はざ)を作って、何束もそれに掛け連ねられて、天日干しにされていた、こういう風景に見とれている自分がいた。
稲架しぐれ信濃に多き道祖神 (西本一都)
豊頬欲し稲架の間行けば稔りの香 (楠本憲吉)
(今日の天気の異様さよ。昼前にはものすごい雨、外は蒸し暑い。それが止むと、快晴。そして今は曇り空、気温も次第に下がってくる。数時間のうちで、くるくる変化してやまない。)
0 件のコメント:
コメントを投稿