彼岸の中日、春雨料峭。閉じこもるのみ。解酲子にならって私も「方丈記」を再読してみた。
やはり、今から826年前、元暦2年(1185・7月9日)の大地震を記述したところが印象に残る。
…山は崩れて河を埋め、海は傾きて陸地をひたせり。土裂けて水湧き出て、巌割れて谷にまろび入る。…地の動き、家の破るる音、電(いかづち)に異ならず。家の内にをれば忽にひしげなんとす。走り出づれば、地割れ裂く。羽なければ、空をも飛ぶべからず。龍ならばや雲にも乗らむ。恐れのなかに恐るべかりけるはただ地震(なゐ)なりけりとこそ覚え侍りしか。かくおびただしくふることは、しばしにて止みにしかども、その名残しばしば絶えず、世の常驚くほどの地震、二三十度ふらぬ日はなし。十日廿日過ぎにしかば、やうやう間遠(まどほ)になりて、或いは四五度、二三度、もしは一日まぜ、二三日に一度など、おほかたその名残三月ばかりや侍りけむ。
余震の回数、それが三ヶ月ばかり続いたというところなど、実際に経験した人でないと書けない。
ゆき暮れて雨もる宿やいとざくら 蕪村
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