2010年2月24日水曜日

とざされた心のなかにも

箱一杯の定期便。今晩から、またお籠もりです。暗い淵にもぐっていくようなものですが、なにか明珠の光があればと思う。

S・ゲオルゲ詩集(岩波文庫・手塚富雄訳)から、

野をおおう白い屍衣を
日光がためらいもなく剥がし取るとき、
水は畝をひたし
土をくずしてきらめき

いつしか流れ集まって河流へいそぐ。
そのときわたしは砕け散った
小心なよろこびの思い出のため、
そしてきみのために葬りの薪を積みあげる。

焔から身を避けて
わたしは小舟にのって櫂をとる、
向うの岸べにはひとりの兄弟が
よろこばしげに旗をふって招いている。

風は氷雪を融かすぬくみをはこんで
冬に堪え抜いたつちくれを吹きすぎる、
とざされた心のなかにも
小径にも 新しい花が咲かねばならぬのだ。

                     『魂の一年』―雪のなかの巡礼―より

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