2010年2月11日木曜日

白鳥は

若くして亡くなった佐賀在住の歌人、笹井宏之は百首の題詠歌を生前作っている。ネット上にそのページ「温帯空虚」http://blog.goo.ne.jp/sasai-h/2があるのを見つけた。以下の作品はそこからのもの。

(命)
雨のあさ命拾いにゆくひとへしっかりとしたかごを持たせる

(質問))
やむをえず私は春の質問としてみずうみへ素足をひたす

(退屈))
退屈の波打つゆうべ スカーフはあなたの首をはなれて海へ

(サイレン)
ひとひとり救えないこの夕ぐれに響け サウンド・オブ・サイレンス

(塔)
氷上のあなたは青い塔としてそのささやかな死を受け入れた

(まぶた))
あるときはまぶたのようにひっそりと私をとじてくれましたよね

(鳥)
おどろいた拍子にくちにいれていた白鳥をあなたは吐き出した

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