若くして亡くなった佐賀在住の歌人、笹井宏之は百首の題詠歌を生前作っている。ネット上にそのページ「温帯空虚」http://blog.goo.ne.jp/sasai-h/2があるのを見つけた。以下の作品はそこからのもの。
(命)
雨のあさ命拾いにゆくひとへしっかりとしたかごを持たせる
(質問))
やむをえず私は春の質問としてみずうみへ素足をひたす
(退屈))
退屈の波打つゆうべ スカーフはあなたの首をはなれて海へ
(サイレン)
ひとひとり救えないこの夕ぐれに響け サウンド・オブ・サイレンス
(塔)
氷上のあなたは青い塔としてそのささやかな死を受け入れた
(まぶた))
あるときはまぶたのようにひっそりと私をとじてくれましたよね
(鳥)
おどろいた拍子にくちにいれていた白鳥をあなたは吐き出した
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