枇杷 山桃 桑の実 石楠花
散歩の道すがら出会っているものたち
終わっているものもあるが
それはたんに次回の始まりのために終わっただけだ
心配は無用
終わりそうなものも
それゆえ愛しさが倍増する
石楠花 えごの花は終わりそうか、終わったかだ
卯の花や紫陽花は咲きそめたか、まだかだ
まだかだ、これらまだかだといえるものは希望に満ちている
希望とはまだかだが確実に咲くものの未来の完了に寄せる幻想だ
心配は無用
枇杷を思う 黄金色に熟する前のそれ
山桃はその木しか知らない 桃知らず
桑の実を思う 食べた幼い時 祖母の桑の実
山歩いて石楠花に遭遇する五月の山歩き
経験は少ない実だが
始まりや終わり、始終をどこかで教えてくれる
花だけがいいのではない、とくに
桜に狂うのは、そこで狂いが絶頂になるのが淋しい
桜の次は柳で、その次は牡丹で、その次は衣更え、お手討ちとか
いろいろ生きるかぎりは生きて
歌枕は各個人が作ればいいのであって
きみのとなりの人の歌枕を愛しなさいと
イエスも言った
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