2008年7月20日日曜日

連詩『卵』15

13
「少女たちは欲望されると同時に欲望している」
と批評家Aは書く。何からぬけだしたのか?
「ほんとうは、この先にたのしいことなんか
待っていない」とわかったステップで、烏山通りから
甲州街道に出る。いくつもの断層を
隠し切れずに、世田谷の夜は炭水化物をきらう。   (健二)


14
火曜日。ドローレスという名とともに、
隠されていたプロットがにじみ出した。
小さなアスターが背筋をまっすぐに伸ばしている。
パーマネント・ヴァケーションという映画の
タイトルを思い出す。茎から花冠へと昇る
悲しみに理由はない。             (英己)


15
積み上げられた積み木の家
想像される未来の乾いた空気
少女たちの中でいつまでも固まらないプロット
夏休みの予定表はあらかじめ組み立てられ
夕立が来て青草の匂いが急に高くなる。理由もなく
乳房が膨らみ、怒りのようなものが湧いてくる        (豊美)



日記抄

18日(金)
神奈川は六角橋の「メリオール」で倉田良成さんの新詩集『神話のための練習曲集』の出版を祝う会に出席。
久しぶりの人とも会えた。

19日(土)
国立の「奏」で、『詩を語る夕べ』の2回目。ミルトンについての福間さんの話と最近の新詩集についての話など。

20日(日)
久しぶりに湯殿川に行く。

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