2008年7月30日水曜日

連詩『卵』17

15
積み上げられた積み木の家
想像される未来の乾いた空気
少女たちの中でいつまでも固まらないプロット
夏休みの予定表はあらかじめ組み立てられ
夕立が来て青草の匂いが急に高くなる。理由もなく
乳房が膨らみ、怒りのようなものが湧いてくる        (豊美)



16
日没の卵を救うために
破棄せよ、溺死者の夏休みも、投身自殺した哲学者のプロットも。
吸えるものならば未来の空気を吸って
京王線で府中に出る。
「何にでもなりうる」
動き、成長する小さな者たちとともに。         (健二)



17
「おじさん、卵を一つくださいよ」
猫とバイオリンをあげるから。
塀から落ちたハンプティ・ダンプティ
フクロウに頼んだ
雀に呼びかけた。
それを夕焼けが見ていた、見ていた。          (英己)

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