2009年9月13日日曜日

presidential medal of freedom

やっと一編の詩を書いた。

これは今月の終わり頃発刊の「現代詩手帖」に掲載されるはずである。書き終わって、自分の詩の転機になるかもしれないと昂ぶった思いもしたが、時間がたつとそんな思いも自然に静まるしかないし、そうしたものである。今夏の、アメリカでの経験を底において、「自然」についての物語を企図した詩だが、まだまだ「にごり」があると今読み返して思った。こんなふうに発表もされていない自作の詩について語ることも、詩を書くという地点からとらえ直すと無意味とも言えないが、よそう。

昨日は、アメリカでお世話になったTroy一家と、彼らが日本で知り合ったというその友人夫妻を招いて、女房の手料理で酒を飲んだ。ダグラスとトリシア夫婦は十三年も日本に住んでいるという。相模川の周辺で、橋本から相模線に乗り換えて行くところだという。今度是非と言われた。アメリカでのことなどを中心に随分と話がはずみ、普段なら苦痛の「英会話」もそうでもなかったのは、アメリカの余韻をまだ引きずっているからだろう。

Jaksonvilleの娘の家で、一人でテレビを見ていた。8月12日のことだ。C-spanだった。オバマがいて、ホワイトハウスからの実況中継で、何か授与式のようだった。やがてわかった。日本の国民栄誉賞?のようなものか、アメリカの最高の名誉的な勲章と言われる、presidential medal of freedom(大統領自由勲章というのか)の授与式だったのだ。受賞者には、ぼくの知っている人で言えば、体の不自由なホーキング博士がいた、南アメリカの活動家だったツツ司教もいた、俳優のシドニー・ポワチエがいた、バングラデッシュの経済学者で貧民のための独創的な銀行を作ったムハマッド・ユニス?がいた。それにアメリカ先住民の権利の拡大につとめた何とかという歴史家人がいた、その人は先住民の服を着ていた。シビル・ライト闘争時代の生き残りの人がいた、この夏、この後で死ぬことになるエドワード・ケネディ(彼は病気で来れない、その娘のカラが代理でオバマから賞をもらった)、そしてぼくが一番驚いたのは、ゲイの権利拡大のために活動したハーヴェイ・ミルクにもこの賞が贈られたことである。もちろん彼は殺されて、いるはずもない、彼の甥のスチュアート・ミルクが代理として出席していた。ゲイの存在、その活動、それらを国家が表彰したのである、このことの意味を考えると頭がくらくらする。とくにここ日本で、こういう権利が公然と認められる、というようなことが、これから来るであろうか?(そういう意味で日本の国民栄誉賞などとと比較することなどとてもできない重たい賞でもある。)ハーヴェイ・ミルクをモデルとした映画がショーン・ペン主演で公開されたが、ぼくは見ていなかった。娘たちにこの授賞式のことを話した。その映画は観たという。内容も教えてもらった。アメリカの深さとしか言いようがないが、多様性の擁護ということは生半可な努力ではできないことだと思う。

25日にエドワード・ケネディが亡くなった。いろいろあった人だが、アメリカのリベラルの代表であったことは間違いないだろう。"Liberal Lion"がついに倒れたのである。オバマはその葬儀で次のような弔辞を捧げたという。
以下VOA Newsからの引用、


President Obama was the last speaker at the funeral. He said Ted Kennedy has gone home to join the loved ones he had lost.

BARACK OBAMA: "At last he is with them once more, leaving those of us who grieve his passing with the memories he gave, the good he did, the dream he kept alive, and a single, enduring image. The image of a man on a boat, white mane tousled, smiling broadly as he sails into the wind, ready for what storms may come, carrying on toward some new and wondrous place just beyond the horizon."

これを読むとオバマの言葉の力のすごさを感じずにはいられない。ほとんど文学である。エドワードの一つのイメージ、いつまでも残るイメージとはオバマによれば、ヨットに乗って水平線を超え、驚きと新たな場所を目指す白髪の笑顔が印象的な勇敢な船乗のそれである。

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