2008年6月12日木曜日

連詩『卵』2、他




わたしは生きる、と書いたあとに
撮影所に出る川べりを歩いている。
ひとつの主題として
梅雨空の下の容器から
音楽のなかに卵をとりだす。その前に
黒い点となって消えようとする人影を追った。(健二)


蜜蜂たちの大量失踪の映像のあとに
受粉を待つ雌蕊のことを思った。
果実、卵、すべての無言の形が消えて、白い
鋼の色が叫んでいる交差点。
「ないということさえない」破れた殻のなかに
小さな鼓動とかすかな蜜の味、浅い朝に。 (英己)




 ワイパーのせわしない動きもフロントガラスを瀧のように流れる落ちる激しい雨に追いつかない朝だった。なんとか山の上の、泥んこになった駐車場まで車を動かした。それでも普段と変わらない通勤時間だったので、電車とバスで行くのに比べると格別にはやい。都に勤めていた頃は、車通勤はきびしく排除されていたので、ここ十年以上車で職場に行ったことはない。これも非常勤のありがたさ。車通勤の届出をすると、ガソリン代もわずかながら出る。

 今日は一日5コマの授業があって、一番疲れる日。気息奄々という状態で、なんとかしのぐ。授業が終わると、雨はすっかり止んでいた。夜は風もない雨後の静けさ。半月が出ている。

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